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2009年3月3日

SSS,まずはこれ...

(自分の好きな曲を1曲ずつ、地味に紹介していきます。)

<今日の1曲>
Seven Swan Songs

by 上野洋子  詞:鈴木慶一  曲:上野洋子
('03年7月リリースのアルバム 「 SSS ~ Simply Sing Song 」 に収録)


 時折、無性に、一人きりになって上野洋子の歌声に触れたくなります。
 彼女の声は、声量も決して多くはなく、クラシックでの声楽的な声質とは正反対の、どちらかといえば細身の声質。にもかかわらず、とてつもない魅力を感じます。
 1985年から1993年ののれん分けまで、吉良知彦とのユニット「zabadak」として活動していた時期も、彼女はケルティックな色彩の曲を数多く手がけ、その澄みきった繊細な歌声で数々の名曲を生み出しました。

 2003年に発表されたこの Seven Swan Songs は、ムーンライダーズの鈴木慶一が手がけた奥深い内容の歌詞を、上野洋子の落ち着いたボーカルが訥々と刻みます。
 「 革命が起きるなら 」 という重い言葉で始まり、やがて 「 火星の砂嵐が 」 というフレーズが現れ、戦争という悲劇の情景が浮かんできます。
 さらに 「 オランダ菖蒲の花 」、そして最後に唄われる 「 7番目の明星 」 というフレーズ。
 曲を通してイメージされるのは、まさに非情な戦争に見舞われたそこに生きる女性の、愛する者の生を願う愛おしさです。

 楽曲自体も、バックのアレンジに派手さは皆無で、上野洋子の繊細なボーカルがうまく引き立っています。
 スローテンポなメロディラインもごく素直です。優しく、強く、そして重みのある数珠の一曲です。


※ 「火星の砂嵐」というフレーズについて、火星はローマ神話の軍神マルスを意味し、まさに激しい争いの情景を思わせます。

※ 「オランダ菖蒲」とはグラジオラスの和名のひとつ。グラジオラスという名は、ラテン語の剣(グラディウス)に由来し「戦いの準備」を意味するそうです。花言葉は、勝利・忍び逢い・用心・情熱的な恋。

※ 「7番目の明星」は、北斗七星の7番目を意味するのでしょうか。唐の経典『仏説北斗七星延命経』で“破軍”を意味し、戦に勝つための守護星といわれた星が、その7番目の星です。

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