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2009年3月12日

山深い森の奥にこそ...


<今日の1曲>
マニアックなシンセサウンドをね Deep Mountain Forest (3部作)

by the Gentle Wind   composer : Nahoko Kawai arranger : Mickie Yoshino (track 10)  Ken Watanabe (11)  Akio Suzuki (12) ('89年10月リリースのアルバム 「 Tears of Nature 」 に収録)


 the Gentle Wind は、ミッキー吉野と河合奈保子が、精神世界の浄化をコンセプトとした音楽を表現しようと1989年に結成したユニットです。(CDのジャケットを見るとなぜか the が小文字)

 ユニット1作目のアルバム 「 Tears of Nature 」 は、河合奈保子が水・風・光・海・山といった自然の要素を題材に旋律をイメージし、ミッキー吉野を中心にベーシスト渡辺建とサックスプレーヤー鈴木明男が参加したアレンジャー陣が編曲するという形で作成された INSTRUMENTAL 集です。(ボーカルはありません、念のため)

 アルバムの内容は、打ち込みとキーボード中心のシンセサウンドですが、鈴木のサックスや、YAS-KAZのパーカッション、その他のアコースティックも上手く取り入れており、ちょうどリリース時期のちょっと前に流行したフュージョン系のサウンドに近い感じです。

 アルバム中のオススメは、ラスト3曲の 「 Deep Mountain Forest 」。 このタイトルは3部作となっており、河合奈保子の作曲した旋律について、ミッキー吉野、渡辺建、鈴木明男の3人が別々にアレンジし、順にトラックを並べるという、あまり見られない面白い試みをしています。  実際に収められている3曲は、共に、タイトル通りの重厚な非常に聞き応えのあるサウンドがオスティナート形式で展開されます。「山奥の深い森」と題した同じテーマで、安らぎの森、鎮まりかえった森、激しく荒れる森というイメージがそれぞれ表現され、同じ旋律でもアレンジによってこうも違うものかと驚かせてくれます。実に興味深い。

 録音については、SN比は年代相応ですが、シンセ中心に広い音場感を作っており、なかなかいいレコーディングになっています。スペアナを見てみると、特に、track11なんかは60Hz以下の超低域の量が凄まじく、曲の最後の方に現れる "ズン" とくる超低域アタックなどは聴き所の一つです。随処に現れるYAS-KAZパーカッションが綺麗に聴こえると面白いです。全般的に低域の量が多いので、安物のスピーカーやヘッドフォンでは音割れするかもしれません。解像度が高くおどろおどろしい程の低域を本格的に再生できるシステムでこそ、このアルバムが表現したかった「人が踏み入れることのない森の深さ」が聴こえてくるでしょう。

現時点では、このアルバムは絶版で入手困難なようです。

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