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2009年3月19日

津軽の三味にハードロックで



<今日の1曲>
Tsugaru(KEIKO)

by 角松敏生   composer:角松敏生
('90年7月リリースのインストゥルメンタルアルバム 「 Legacy of You 」 に収録)


 '87年の 「 SEA IS A LADY 」 に続く、角松敏生のギターインストアルバムの第2弾が、今回の Tsugaru(KEIKO) を収録した 「 Legacy of You 」 です。このアルバムでは全ての曲名にそれぞれ違う女性の名前が付記されていて、角松のアソビゴコロを感じます。

 「 Tsugaru(KEIKO) 」 は、分厚いハードロックリズムに津軽三味線をフュージョンさせた、当時ではかつてない試みの1曲です。一見するといかにも奇を衒った感じで遠慮したくなりそうですが、ところがどうして百聞は一聴にしかず。

 約9分に及ぶ演奏は長すぎると評する向きも中にはありますが、前半・中盤・後半と展開が変わっていくため、聴いていて冗長な感じが全くしません。
 この曲の出だしからの約2分間は、シンセの空間的エフェクトをバックに伝統的な津軽三味線が無伴奏ソロで奏でられます。そこには、繊細さと同時に独特の気迫が流れていきます。やがてロックのリズムが徐々に追従し、津軽三味線とベーススラップの重厚な心地よいコラボレーションに続きます。さらにギターソロとが交互に入れ替わりながら旋律を奏で合い、中盤にはキーボードとサックスのソロが入って華やかに展開します。後半は分厚いリズムに支えられたギターサウンドと津軽三味線のサンプリングがうまく組み合ってオリエンタルテイストなハードロックが響きます。

 プレイヤー陣を見てみると、角松自身のギターに加え、三味線は高橋竹与(現 二代目高橋竹山)、ドラムスは村上"ポン太"秀一、ピアノ・キーボードに小林信吾、ベースに(故)青木智仁、パーカッションに斉藤ノブ、リズムギターに鈴木茂、サックスに本田雅人、打ち込みは(故)浅野ブッチャー祥之、マニピュレーションが久保幹一郎と、本当に超一流どころのミュージシャンばかりズラリ。流石にこれだけの人材を集めただけの曲になっており、聴くたびに元気をもらえる素晴らしいものに仕上がっています。

 この曲の主な意図は津軽三味線とロックサウンドのかつてないフュージョンでしょう。打ち込みの分厚いリズムに、軽快な津軽三味線が重なる様が圧巻で、初めて聴いたときには鳥肌モノでした。
 聴いてみて思うに、津軽三味線のソウルとハードロックのソウルは、音色は違えど、ハートを熱くさせるその根本は同じものなのですね。





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