敬称略にて失礼します。
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2009年5月3日

心配するなよ



<今日の1曲>
セラピー

by HIS   詞/曲 忌野清志郎 
(1991年7月リリースのアルバム「日本の人」より)


 突然の訃報に、一瞬言葉を失いました。
 尊敬する忌野清志郎さんが、さる5月2日、がんとの闘病に終止符を打ちました。享年58歳。早すぎます。

 彼の個性的なボーカルは、聴き初めの頃は正直なところ単にファンキーなコミックバンドに感じていました。がしかし、徐々に、その奏でる詞の紡ぎ方の巧みさに畏怖し、そのメッセージに共感するものを覚えてゆきました。

 彼は自分がカリスマと称されることを拒み、イベントやテレビ・ラジオの出演でも、やんちゃ坊主のようにイタズラを仕掛けていました。そんな奔放な一面が彼の魅力の一つでもありました。しかし、そんな態度を社会は快くは受け入れないことも多々あり、メディアの力で封印されそうになったことも度々。
 奔放であることを抑えようとする力には、それに抗う力も世には必要であること。これは忌野清志郎本人も自覚していて、いわば確信犯的に、自由な奔放さを一つのテーゼとして社会に投げ続けてきたのでしょう。


 今回紹介するのはHISのアルバム「日本の人」から「セラピー」

 HIS とは、細野晴臣、忌野清志郎、坂本冬美の3人のユニットで、その頭文字をとって名づけたユニットです。結果的にアルバムは「日本の人」1作限りとなってしまいました。このアルバムには忌野作の9曲に加えカバー曲5つが収められ、アソビゴコロたっぷりな出来映えです。

 そんな中の1曲、忌野作の悲しげでスローなメロディーラインの「セラピー」は、忌野が自分で自分に投げかけた歌に思えて仕方がありません。
 奔放であり続ける忌野自身が、実は孤独であり、そんな自分を客観視しながら自分で自分を励ましているかのようです。
 「そんなに心配するなよ」と。


 2005年頃からHIS再結成の動きもあったので、いつぞや第2弾アルバムを、と淡い期待を持っていましたが、夢と潰えてしまいました。

 忌野清志郎さんのご冥福をお祈りいたします。


 「日本の人」に収録されている「500マイル」(哀愁あるいい曲です。)



 2005年のシングルリリース「幸せハッピー」
(坂本冬美でのリリースですが中身はHIS。昭和歌謡テイストです。)